在庫車両の撮影を効率化する8手順|撮影から掲載まで

在庫車両の撮影を効率化する8手順

在庫車両の撮影は、撮る前の準備と撮った後の作業を決めておくと短くできます。この記事では、撮影リストの作り方から掲載までを8つの手順で整理します。

※本記事は2026年10月時点の情報です。

目次

在庫車両の撮影に時間がかかる3つの原因

撮影に時間がかかる主な原因は、撮影手順が人によって違うこと、天候や撮影場所に左右されること、撮影後の事務作業が多いことの3つです。

原因1:撮影フローが属人化している

担当者ごとにアングルや枚数がばらばらだと、撮るたびに「どのカットが必要か」の確認が発生します。手順が決まっていない状態は、時間のムダと品質のばらつきの両方を生みます。

原因2:天候や撮影場所に左右される

雨で外装が撮れない、撮影スペースが他の車で埋まっている、といった理由で作業が止まります。撮影環境が安定しないと、入庫から掲載までの日数が延びます。

原因3:撮影後の事務作業が多い

撮影した写真のリサイズ、ファイル名の変更、各ポータルサイトや自社サイトへの個別アップロードが続きます。撮影そのものより、撮影後の作業に時間を取られている店舗は少なくありません。

撮影前に決めておく撮影リストと必要枚数

撮影前に「撮るカットと順番」を一覧にすると、撮り漏れと撮り直しが減ります。掲載枚数は20枚以上を目安にし、掲載先ごとの上限に合わせて調整します。

中古車情報サイトの車選びドットコムは、販売店向けの解説記事で20枚以上の画像登録を勧めています。同記事では、30枚以上を登録した車両はサイト内検索にかかりやすい仕様だとしています(2026年10月閲覧)。

推奨枚数や上限は掲載先ごとに違います。自社が使う媒体の仕様を先に確認し、リストの枚数を決めてください。

区分撮るカット撮るときのポイント
外装斜め前(メイン写真)一覧に表示される1枚。車両を画面の中央に大きく入れる
外装正面・左右側面・斜め後ろ・真後ろ同じ距離と高さで撮り、写真の並びをそろえる
内装運転席まわり・メーター走行距離の数字が読める明るさで撮る
内装前席・後席・荷室・天井汚れやシミも隠さずに写す
機関・足回りエンジンルーム・タイヤの溝・ホイールタイヤは4本とも撮る
付属品取扱説明書・整備記録簿・スペアキー有無を写真で示せるようにする
車両の状態キズ・へこみ・補修箇所位置がわかる引きの写真と、寄りの写真を1枚ずつ撮る

リストは「車の周りを一方向に回る順番」で並べます。順番どおりに撮れば、立ち位置を考える時間と移動の往復がなくなります。

撮影から掲載までを短くする8つの手順

撮影時間を短くするには、撮影中の5つの手順と、撮影後の3つの手順を組み合わせます。撮影だけでなく、掲載までの流れ全体を見直すことが効果的です。

手順1:撮影チェックリストで撮り漏れをなくす

前章の撮影リストを印刷するか、スマートフォンで見られるようにして撮影時に使います。誰が撮っても同じ枚数とカットになり、撮り忘れによる再撮影がなくなります。

手順2:撮影場所を固定して定点撮影にする

敷地内に撮影専用のスペースを決め、車両の停止位置と撮影者の立ち位置を地面に印で示します。構図を考える時間がなくなり、在庫一覧の写真にも統一感が出ます。

内装は直射日光が入ると明暗の差が強く出ます。外装を撮ったあと、日陰や屋根の下に移動して内装を撮る流れにしておくと、撮り直しを防げます。

手順3:必要な機材を「撮影キット」にまとめる

撮影のたびに機材を探す手間をなくすため、1つのケースにまとめて置き場所を決めます。

  • スマートフォンまたはカメラ(予備バッテリー)
  • 三脚
  • 手袋・レンズ拭き
  • ナンバー隠し
  • 印刷した撮影リスト

手順4:スマートフォンの撮影機能を使いこなす

今のスマートフォンには、水平を合わせるグリッド表示や手ブレ補正、明るさ調整が備わっています。掲載用の写真であれば、一眼レフがなくても十分に撮影できます。

  • グリッド表示をオンにして、車両と地面の水平をそろえる
  • 撮影前にレンズの指紋や汚れを拭く
  • 広角で車両に近づきすぎると形がゆがむため、少し離れて撮る

手順5:移動・清掃と撮影の担当を分ける

2人以上で作業できる日は、車両の移動・清掃を担う人と撮影に専念する人を分けます。1台撮っている間に次の車両を準備でき、待ち時間がなくなります。

手順6:ファイル名のルールを決める

ファイル名を「在庫番号_カット番号」(例:A0123_01.jpg)にそろえます。撮影リストの順番とカット番号を一致させれば、掲載時に並べ替える作業が要りません。

手順7:リサイズと補正はまとめて処理する

1台ずつ編集せず、その日に撮った分をまとめてリサイズします。明るさの補正も全カット同じ設定でかけると、作業時間が短くなり、写真の見た目もそろいます。

手順8:撮影データを在庫情報と一緒に管理する

写真が個人のスマートフォンやパソコンのフォルダに散らばると、探す時間がかかります。在庫番号と写真を紐づけて一か所で管理すれば、販売後の問い合わせ対応でもすぐに参照できます。紙やExcelからの移行手順は「中古車販売店のデジタル化の進め方」で解説しています。

AI・360度カメラ・管理システムで効率化する方法

AIによる背景加工、360度カメラ、管理システムを使うと、撮影や登録の手間をさらに減らせます。ただし費用と運用の手間が増えるため、自社の台数規模に合うかを先に確かめます。

AIの背景加工で撮影場所の制約を減らす

AIの画像加工ツールを使うと、車両以外の背景を自動で切り抜き、別の背景と合成できます。専用の撮影ブースがなくても、背景をそろえた写真を作れます。加工の範囲には注意が必要で、詳しくは後の「注意すること」で説明します。

360度カメラと短い動画で伝わる情報を増やす

360度カメラは、1回の撮影で内装や外装の全体を見せられるため、静止画の枚数を減らせます。エンジン始動音やパワーウィンドウの動作を収めた短い動画は、写真では伝わらない状態を示せます。

撮影・登録・掲載をつなぐ管理システム

撮影した写真をその場で車両情報と紐づけて登録できる仕組みがあると、媒体ごとの登録作業を減らしやすくなります。導入するツールの選び方は「中古車販売店が導入すべき自動化ツールと選定基準」を参考にしてください。

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撮影の効率化で注意すること

効率を優先して、車両の状態を実際と違って見せる加工をしてはいけません。また、店舗の規模によっては、機材やツールの費用が見合わないことがあります。

  • 車両の状態を変える加工をしない:自動車公正取引協議会は、車両状態表示の監修基準で、外装・内装のありのままの状態を適正に示すことを求めています(AFTC NEWS第45号、2026年10月閲覧)。AIでの加工は背景の差し替えにとどめ、キズやへこみは消さないでください。
  • 掲載先の規約を確認する:加工した画像の扱いは媒体ごとに違う場合があります。使う前に各媒体の掲載ルールを確認します。
  • 台数が少ない店舗は手順1〜3から始める:月の入庫台数が少ない店舗では、360度カメラや撮影ブースの費用を回収しにくくなります。
  • ツールを増やしすぎない:撮影・加工・掲載でツールが分かれると、登録先が増えて、かえって手間が増えることがあります。

撮影時間の短縮で変わる3つのこと

撮影時間が短くなると、人件費の抑制、入庫から掲載までの日数短縮、写真品質の安定が期待できます。効果の大きさは、店舗の台数と人員体制によって変わります。

残業代や外注費を抑えやすくなる

撮影業務が短くなれば、担当者の残業や撮影の外注を減らしやすくなります。空いた時間は、商談や顧客対応に回せます。

入庫から掲載までの日数が短くなる

撮影から掲載までが早まると、入庫した車両を早く公開できます。公開が早いほど、購入を検討している人の目に触れる期間が長くなります。

写真の品質がそろい、属人化が解消する

誰が撮っても同じ品質と時間で撮れる仕組みは、店舗の資産になります。担当者の退職や異動があっても、撮影業務が止まりません。

よくある質問

在庫車両の撮影について、掲載枚数、スマートフォンでの撮影、AIによる背景加工、雨の日の対応という、現場でよく出る4つの質問に答えます。

Q. 中古車の掲載写真は何枚必要ですか?

A. 20枚以上が目安です。車選びドットコムは20枚以上の登録を勧めています。ただし推奨枚数や上限は掲載先ごとに違うため、使う媒体の仕様を確認してください。

Q. スマートフォンで撮影しても問題ありませんか?

A. 掲載用であれば問題ありません。グリッド表示で水平をそろえ、レンズを拭いてから撮ります。広角で近づきすぎると形がゆがむため、少し離れて撮影してください。

Q. AIで背景を加工してもよいですか?

A. 背景の差し替えにとどめれば活用できます。キズやへこみを消すなど、車両の状態を変える加工はしないでください。加工画像の扱いは媒体ごとに違う場合があるため、規約も確認してください。

Q. 雨の日はどう撮影すればよいですか?

A. 屋根の下で撮れる内装・エンジンルーム・付属品を先に撮り、外装は晴れ間に撮ります。撮影リストを区分ごとに分けておくと、天候に合わせて順番を入れ替えられます。

まとめ

在庫車両の撮影は、撮影リスト・定点撮影・役割分担で撮影中を短くし、ファイル名のルール・一括処理・在庫情報との一元管理で撮影後を短くするのが基本です。

まずは費用のかからない手順1〜3から始めてください。AI加工や360度カメラは、台数規模と費用を比べてから検討します。加工は背景までにとどめ、車両の状態はありのまま伝えることが前提です。

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