在庫車両管理表は、1台1行で「車両・状態・原価・販売・期限・掲載」の6分類を列にし、入力ルールを決めれば作れます。Excelで無理なく回るのは、更新する人が1人、掲載媒体が1つまでが目安です。
本記事では、項目の一覧、Excelでの作り方5ステップ、運用ルール5つ、法令上の注意点を、中古車販売店の実務目線で整理します。本記事は2026年10月時点の情報です。
在庫車両管理表とは?社用車の「車両管理台帳」との違い
在庫車両管理表は、販売目的で仕入れた車両を1台ずつ記録し、原価と販売状況を追う表です。社用車の使用者や保険を管理する「車両管理台帳」とは、目的も項目も異なります。
| 比較軸 | 在庫車両管理表(販売店) | 車両管理台帳(社用車) |
|---|---|---|
| 対象 | 販売するために仕入れた車両 | 会社が業務で使う車両 |
| 目的 | 粗利と在庫日数の把握、販売機会を逃さないこと | 運行・保険・点検の管理、事故時の責任管理 |
| 中心になる項目 | 仕入価格、整備費、販売価格、ステータス、在庫日数 | 使用者、使用目的、保険、点検記録 |
| 1行の寿命 | 入庫から納車まで(販売後は実績として残す) | 車両を保有している間ずっと |
検索すると社用車向けのテンプレートが多く見つかりますが、販売店でそのまま使うと原価と在庫日数の列が足りません。
管理表があると現場で何が変わるか
| 場面 | 管理表がない状態 | 管理表がある状態 |
|---|---|---|
| 問い合わせ対応 | 「確認して折り返します」になる | 年式・走行距離・展示場所をその場で答えられる |
| 値付けの見直し | 長く残っている車に気づくのが遅れる | 在庫日数の順に並べて見直す車を選べる |
| 仕入れ判断 | 記憶と勘で車種を選ぶ | 過去に早く売れた車種と粗利から選べる |
| 保有コスト | 保管・整備の費用が車ごとに見えない | 原価合計から1台ごとの粗利が分かる |
| 期限・法令 | 車検切れや名義の確認漏れが起きる | 期限が近い車に色が付き、事前に動ける |
在庫車両管理表に入れる項目|6分類の一覧
項目は「車両基本情報・車両状態・原価・販売・期限と登録・掲載」の6分類で揃えます。原価と掲載の列がない表では、粗利と媒体間の価格ズレを追えません。
| 分類 | 主な列 | この列で判断すること |
|---|---|---|
| 1. 車両基本情報 | 管理番号、メーカー、車名、グレード、初度登録年月、型式、車台番号、色、走行距離、排気量、ミッション、駆動方式 | 問い合わせ時の検索、媒体への掲載 |
| 2. 車両状態 | 修復歴の有無、内外装の状態、主要装備(ナビ・ETC・バックモニターなど)、整備記録 | 商談時の説明、値付け |
| 3. 原価 | 仕入日、仕入区分、仕入価格、整備費、仕入諸費用、リサイクル預託金 | 1台ごとの粗利 |
| 4. 販売 | ステータス、保管場所、車両本体価格、支払総額、商談状況、担当者、入庫日、販売日、在庫日数 | 長期在庫の把握、商談の重複防止 |
| 5. 期限と登録 | 車検満了日、自賠責保険満了日、登録番号、所有者・使用者、自動車税の扱い | 期限切れの防止、名義変更の段取り |
| 6. 掲載 | 掲載中の媒体、媒体ごとの掲載価格、掲載開始日、写真・動画の保存先リンク | 媒体間の価格不一致の防止 |
仕入区分は「オークション」「下取り」「業者仕入れ」のように区分で入れると、仕入れ経路ごとの粗利を集計できます。
最初から全部の列を作らなくてよい
列が多すぎると入力が止まり、空欄だらけの表になります。最初は次の13列で始め、運用が回ってから足すのが確実です。
- 識別:管理番号、車名、初度登録年月、走行距離、車台番号
- 原価:仕入日、仕入価格、整備費、仕入諸費用
- 販売:ステータス、車両本体価格、販売日
- 期限:車検満了日
Excelで在庫車両管理表を作る5ステップ
シートを「車両台帳」と「選択肢リスト」に分け、テーブル化、入力規則、計算列、条件付き書式の順に設定します。数式は在庫日数・原価合計・想定粗利の3つから始めれば足ります。
ステップ1:シートを2枚に分ける
- 車両台帳:1台1行で、上の6分類の列を並べる
- 選択肢リスト:ステータス、色、仕入区分などの候補を縦に並べる
売れた車の行は削除せず、販売日を入れて残します。在庫日数と粗利を車種別に振り返る材料になるためです。
ステップ2:管理番号を振り、テーブルに変換する
管理番号は「入庫年月+連番」(例:2610-001)にすると、重複せず並び順も分かりやすくなります。表全体を選んでテーブルに変換すると、行を足したときに数式と書式が自動で引き継がれます。
ステップ3:入力規則でプルダウンにする
ステータス・色・仕入区分は、データの入力規則で選択肢リストから選ばせます。手入力をなくすと、表記ゆれによる集計漏れを防げます。
- ステータスの例:入庫待ち/整備中/展示中/商談中/売約済/納車済
- 年式は西暦か和暦のどちらかに統一する(「2020年式」「R2年式」の混在を防ぐ)
- 日付の列はセルの書式を日付にして、文字列で入らないようにする
ステップ4:計算列を3つ作る
テーブルに次の3列を追加します。数式は1行目に入れれば、下の行にも自動で入ります。
| 列名 | 数式(テーブルの構造化参照) | 使い道 |
|---|---|---|
| 在庫日数 | =IF([@販売日]="",TODAY()-[@入庫日],[@販売日]-[@入庫日]) | 在庫中は今日までの日数、売れた車は売れるまでの日数 |
| 原価合計 | =[@仕入価格]+[@整備費]+[@仕入諸費用] | 1台にいくらかかったか |
| 想定粗利 | =[@車両本体価格]-[@原価合計] | 値下げできる幅の確認 |
支払総額には税金や保険料などの費用が含まれるため、粗利の計算には使いません。車両本体価格と支払総額は別の列で持ちます。
ステップ5:条件付き書式で期限と長期在庫に色を付ける
- 車検が近い車:車検満了日がP列なら
=$P2-TODAY()<=60で色を付ける(60日は例。自店の整備の段取りに合わせて決める) - 長く残っている車:在庫日数が自店の基準日数を超えたら色を付ける
- 売約済・納車済の行:文字色を薄くして、在庫中の車と見分けやすくする
在庫車両管理表の運用ルール5つ
管理表の精度は、作った後の運用で決まります。「即時更新」「表記の統一」「更新担当の固定」「ステータス定義の共有」「月1回の現車照合」の5つを決めてから使い始めます。
- 変更はその場で更新する:移動、整備完了、商談開始、売約のたびに更新します。「夕方にまとめて」は、別の客への二重案内の原因になります。
- 表記を統一する:車名・色・年式の書き方をルールとして1枚にまとめ、全員に共有します。略語を使う場合も一覧にしておきます。
- 更新担当を決める:列ごとに誰が更新するかを決めます。例えば原価は仕入担当、ステータスは営業担当と分けると、漏れの原因を追えます。
- ステータスの意味を書いておく:「商談中」は見積を出した時点か、試乗した時点かなど、切り替えの条件を決めます。人によって判断が違うと、表の数字が信用されなくなります。
- 月1回、表と現車を照合する:展示場とヤードを回り、表のステータスと保管場所が実物と合っているかを確認します。ズレた行は原因も記録します。
あわせて、ファイルの保存場所を1か所に決め、個人のパソコンにコピーを作らないことも徹底します。数式の入った列はシートの保護をかけ、誤って上書きされないようにします。
在庫・顧客・販売を1つの画面で管理したい方へ
中古車販売店向けのオールインワン経営管理ツール「CarGate」の機能を、資料でご確認いただけます。
法令上の記録と在庫車両管理表の関係
在庫車両管理表そのものは、法令で様式が決まった帳簿ではありません。ただし古物台帳、支払総額表示、電子車検証の3点は、管理表の列や運用に直接関わります。
| 制度 | 内容 | 管理表での対応 |
|---|---|---|
| 古物台帳 | 古物営業法第16条で取引の記録、第18条で記録の3年間保存が定められている(出典:古物営業法(e-Gov法令検索)) | 管理表と兼ねる場合は、法定の記載事項を満たすかを所轄の警察署に確認する。販売後の行も3年間は消さない |
| 支払総額表示 | 2023年10月1日施行の自動車公正競争規約・施行規則の改正で、中古車の価格は支払総額の表示が必要になった。情報サイトの掲載価格も対象(出典:自動車公正取引協議会) | 支払総額の列を1つに決め、各媒体へはその列から転記する |
| 電子車検証 | 2023年1月から自動車検査証が電子化された(出典:国土交通省) | 車検満了日などの記録事項を管理表へ写す手順と担当を決める |
個別の取り扱いは、店の状況や所轄によって異なる場合があります。判断に迷う場合は、所轄の警察署や専門家に確認してください。
Excel管理の限界|見直しを考える5つのサイン
更新する人が2人以上、または掲載媒体が2つ以上になると、Excelでは入力ミスと情報のズレが増えます。次の5つのうち2つ以上に当てはまれば、管理方法を見直す時期です。
- 走行距離や価格の転記ミスが、毎月のように見つかる
- 商談中や売約済の車を、別の客に案内してしまったことがある
- 「予算200万円以下・走行5万km以下のSUV」のような条件検索に時間がかかる
- 在庫日数や粗利の集計を、月末にまとめてしか見られない
- 入力と媒体ごとの更新作業が、接客や仕入れの時間を圧迫している
反対に、更新する人が1人で、掲載媒体も保管場所も1つなら、Excelで十分に回ります。その場合は、先に運用ルールを整えるほうが効果は大きくなります。

システムを比べる際の確認項目や移行の手順は、中古車の在庫管理システム導入ガイド|選び方7項目と手順で詳しく解説しています。
管理表のデータを値付けと仕入れに使う
在庫日数の列があれば、値下げや業者向け販売に回す判断を日数で決められます。売れた車の行を残しておけば、次に仕入れる車種を選ぶ材料にもなります。
在庫日数で打ち手を決めておく
基準日数は、自店で過去に売れた車の在庫日数から決めます。下の表の日数は考え方を示すための例です。
| 段階(例) | 打ち手 |
|---|---|
| 基準日数の手前(例:30日) | 写真・説明文・掲載媒体を見直す |
| 基準日数に到達(例:45日) | 想定粗利の範囲で価格を見直す |
| 基準日数を大きく超過(例:60日) | 業者オークションへの出品や業販を検討する |
当社のモニター店舗では、平均在庫回転は1.5ヵ月です。自店の平均在庫日数と並べると、どこに改善の余地があるかを判断する目安になります。
長期在庫の具体的な対処は中古車の長期在庫対策|滞留日数ルールと利益に変える5つの鉄則、回転率の計算は中古車の在庫回転率を上げる5手順で解説しています。
仕入れの判断には相場データを組み合わせる
自店の販売実績だけでは、仕入れ値が相場に対して高いか安いかは分かりません。当社は直近1年間の落札データ150万件を保持し、IQR法で外れ値を除いて、相場を割安・適正・割高で判定しています。この判定は、仕入・相場分析ツール「CarChoose」で提供しています。
よくある質問
在庫車両管理表の作成ツール、テンプレート、古物台帳との関係、販売済み車両の扱い、システムへの切り替え時期について、よくある質問にお答えします。
在庫車両管理表はExcelとスプレッドシートのどちらで作るべきですか?
1人で更新するならどちらでも構いません。複数人が同時に開くなら、クラウド上で共有できる表計算のほうが、古いファイルでの上書き事故を防ぎやすくなります。
無料の在庫管理テンプレートは使えますか?
汎用の在庫表は数量の管理が前提で、1台ごとの原価や車検満了日の列がありません。使う場合は、本記事の6分類で足りない列を追加してください。
在庫車両管理表を古物台帳として使えますか?
法定の記載事項を満たし、3年間保存できれば兼ねられる場合があります。記載事項を満たすかどうかは、所轄の警察署に確認してください。
売れた車の行は削除してよいですか?
削除せず、販売日を入れて残すことをおすすめします。車種別の在庫日数や粗利を振り返る材料になり、古物台帳を兼ねる場合の保存にも対応できます。
何台を超えたらシステムに切り替えるべきですか?
台数より、更新する人数と掲載媒体の数で判断します。更新する人が2人以上、または媒体が2つ以上なら、見直しを検討する目安です。
まとめ:在庫車両管理表は「6分類」と「運用ルール」で作る
在庫車両管理表は、6分類の列と5つの運用ルールを決めれば、Excelでもすぐに始められます。更新する人や掲載媒体が増えたら、管理方法を見直す時期です。
- 列は車両・状態・原価・販売・期限・掲載の6分類で揃える
- 数式は在庫日数・原価合計・想定粗利の3つから始める
- 売れた車の行は消さず、販売日を入れて残す
- 古物台帳と兼ねる場合は、記載事項と3年間の保存を確認する
- 更新者2人以上・媒体2つ以上なら、管理方法の見直しを検討する
在庫・顧客・販売をひとつにまとめるならCarGate
CarGateは、中古車販売店向けのオールインワン経営管理ツールです。在庫を販売店同士で共有できるBtoBプラットフォームの機能も備えています。Excelでの管理に限界を感じたら、まずは資料で機能をご確認ください。30分のオンラインデモでは、実際の画面をご覧いただけます。
お電話でのお問い合わせ:06-7668-8188


