もう「どんぶり勘定」は卒業!オークション相場から逆算する、利益を生む中古車販売価格の算出方法

オークション相場から逆算! 利益を生む中古車販売価格の 算出方法
目次

はじめに:その価格設定、感覚に頼っていませんか?

中古車販売事業において、最も重要かつ難しい業務の一つが「販売価格の設定」です。多くの経営者や営業担当者が、オークションでの仕入れ価格(相場)を基準に、「これくらいで売れるだろう」という経験と勘に頼った値付けをしているのではないでしょうか。

その結果、「思ったより利益が出なかった」「売れても赤字になってしまった」「値下げ交渉で利益がほとんど消えてしまった」という経験は、誰しも一度や二度はあるはずです。

本記事では、このような感覚的な価格設定から脱却し、オークション相場を起点として、車両一台にかかるすべての経費を正確に積み上げ、確実に利益を確保する「逆算式プライシング」の具体的な手法を解説します。これにより、お客様にも自信を持って提示できる、納得感のある価格設定が可能になります。

1. オークションでの仕入れ値 ≠ 車両の原価

多くの事業者が陥りがちなのが、「オークションの落札価格」をそのまま「原価」として考えてしまうことです。しかし、一台の車を商品として整備し、美装を施し、広告掲載を経て、プライスボードを付けて店頭やWebサイトに並べ、最終的にお客様に販売するまでには、オークションの落札価格以外にも実に多くのコストが発生しています。

これらの「見えないコスト」を正確に把握しなければ、本当の原価は見えてきません。

1-1. 販売価格までに積み上がる「8つのコスト」

中古車を一台販売するまでに、最低でも以下の8つのコストを正確に把握し、最終的な販売価格に反映させる必要があります。

  1. オークション関連費用: オークション会場に支払う落札料、出品料、車両検査料、システム利用料など。
  2. 陸送費: オークション会場から自社の店舗や整備工場までの車両輸送コスト。距離や車両サイズで変動します。
  3. 整備・修理・部品代: 点検費用、オイル交換、タイヤ交換、バッテリー交換、必要な修理や部品交換にかかる費用。車検取得が必要な場合はその費用も。
  4. 美装・クリーニング代: 内外装の徹底的なクリーニング、ルームクリーニング、ボディコーティングなどの費用。
  5. 法定費用・登録代行費: お客様への販売時に必要な車検取得費用(重量税、自賠責保険、印紙代など)、名義変更などの登録手続きを代行する費用。
  6. 広告宣伝費: 中古車情報サイト(カーセンサー、グーネットなど)への掲載料、自社Webサイトの運用費、その他広告媒体費を一台あたりに按分した費用。
  7. 人件費・販売手数料: 営業スタッフの給与やインセンティブ、事務スタッフの給与などを一台あたりに按分した費用。
  8. その他経費: 店舗の家賃、水道光熱費、保険料、通信費、消耗品費などの固定費を一台あたりに按分した費用。

1-2. なぜこれらのコスト管理が難しいのか?

これらのコストを正確に把握し、一台ごとに集計するのは、手作業やExcelでは非常に困難です。

  • 車両ごとに整備内容や費用がバラバラ: 同じ車種でも、一台一台状態が異なるため、整備内容や部品代が大きく変わります。
  • 外注先からの請求書が後から届き、計上漏れが発生しやすい: 整備工場や板金塗装業者からの請求書が数日〜数週間遅れて届くことがあり、その間に他の業務に追われて計上を忘れてしまうことがあります。
  • 複数の媒体に広告を出していると、一台あたりの広告費が不明確: 月額で契約している広告媒体の費用を、どのように一台あたりに按分するかで悩むケースも多いでしょう。

(ここに「オークション落札価格」に様々なコストが積み上がって「総原価」になるイメージ図を挿入)

2. 実践!オークション相場からの「逆算プライシング」

それでは、これらの「見えないコスト」をすべて含めた上で、確実に利益を確保するための販売価格をどのように設定するのか、具体的な手順を解説します。

利益を確保するための価格設定は、以下のシンプルな式で表せます。

支払総額(販売価格) = 総原価 + 確保したい利益

この「総原価」を正確に算出することが、この計算式の最も重要なポイントとなります。

2-1. STEP1:一台ごとの「総原価」を確定させる

まず、オークションの落札価格に、前項で挙げた8つのコストを一つずつ、正確に足し上げていきます。この際、見積もり段階でもいいので、可能な限り具体的な金額を算出しましょう。

  • 具体的な計算例:
    • オークション落札価格:800,000円
    • オークション関連費用:15,000円(落札料、システム料など)
    • 陸送費:20,000円
    • 整備・部品代:50,000円(エンジンオイル交換、消耗品交換、軽微な修理など)
    • 美装代:25,000円(内外装クリーニング)
    • 法定費用・登録代行費:80,000円(車検取得費用、名義変更代行費用)
    • 広告宣伝費:30,000円(ポータルサイト掲載料の按分)
    • 人件費・その他経費:30,000円(商品化にかかる人件費や店舗経費の按分)
    • → これらすべてを合計した「総原価」:1,050,000円

2-2. STEP2:「確保したい利益額」を決定する

次に、その車両を販売することで、自社がどれくらいの利益を確保したいのか、具体的な金額を決めます。これは、市場の相場(競合他社の同モデルの価格)や車両の人気度、自社の販売戦略(薄利多売か、高利益率重視か)に応じて柔軟に決定します。

  • : 目標利益額 → 150,000円

2-3. STEP3:「支払総額」を算出する

最後に、STEP1で算出した「総原価」と、STEP2で決定した「確保したい利益額」を足し合わせます。これが、お客様に提示するべき「支払総額」の基準となります。

  • 具体的な計算例:
    • 1,050,000円(総原価)+ 150,000円(目標利益)= 1,200,000円(支払総額)

3. 「逆算」思考でオークションに挑む!仕入れの失敗を防ぐ方法

この「逆算プライシング」の思考は、販売価格を設定する際だけでなく、車両を仕入れる段階、すなわちオークションでの応札時にこそ真価を発揮します。

多くの場合、オークションで「これくらいの値段で落ちそうだ」と判断し、そこに利益を乗せて販売価格を決めがちです。しかし、この逆では仕入れの段階で高値掴みをしてしまうリスクが常に伴います。

正しい「逆算思考」は、以下のステップで進めます。

  1. 市場相場調査: まず、**「この車種・グレード・年式の車は、お客様に支払総額いくらで売れそうだ」**という市場の販売価格(競合価格)を徹底的に調査し、上限額を把握します。
    • : 同程度の車両は、支払総額120万円で売れそうだ。
  2. 目標利益を差し引く: その市場価格から、自社が確保したい利益額(例: 15万円)を差し引きます。
    • : 120万円 - 15万円 = 105万円
  3. 想定経費を差し引く: 次に、その車両を仕入れてから販売するまでにかかるであろう経費(上記1-1の8つのコストの合計、例: 22万円)を差し引きます。
    • : 105万円 - 22万円 = 83万円
  4. 応札上限額の決定: 最終的に残った金額が、オークションで応札できる上限額となります。
    • : オークションで応札できる上限額は「83万円」である。

このように、販売価格から逆算して仕入れの上限額をあらかじめ設定しておくことで、感覚的な高値掴みを防ぎ、仕入れた段階で既に利益を確定させることができます。これは、中古車販売業の利益を安定させる上で極めて重要な戦略です。

4. その原価管理、まだExcel?「CarGate」で仕入れから販売までを完全に見える化

この複雑な「逆算プライシング」を、Excelや手作業で正確に、かつ効率的に行うのは、非常に困難であり、ヒューマンエラーや計上漏れが発生する温床となりがちです。

中古車販売に特化した業務支援SaaS「CarGate」なら、この複雑な原価管理と価格設定のプロセスをシステムで自動化し、あなたのビジネスを次のステージへと導きます。

4-1. すべてのコストを車両情報に紐づけ

オークションの落札料や陸送費はもちろんのこと、外注した板金工場の費用、交換した消耗品や部品一本の値段まで、その車両にかかった全てのコストを写真や伝票データと共に一元管理できます。これにより、各コストが自動で集計され、常に正確な「総原価」がリアルタイムで算出されます。

4-2. データに基づいた戦略的な価格設定

正確な総原価が明確にわかるからこそ、自信を持って利益計画を立て、市場の状況に応じた戦略的な販売価格を設定できます。「この価格なら利益は〇〇円出る」「この価格なら競合より優位に立てる」という明確な根拠を持って商談に臨めるため、お客様への説明にも説得力が増し、利益率の高い販売を実現します。

4-3. 仕入れの意思決定をスピードアップ

外出先のオークション会場や、移動中のスマートフォンからでも、CarGateに蓄積された類似車両の過去の販売データや原価実績を瞬時に確認できます。「この車はいくらまでなら応札できるか」「この価格で仕入れればどれくらいの利益が見込めるか」といった重要な経営判断を、データに基づいてその場で迅速に行うことができます。これにより、仕入れのチャンスを逃さず、常に最適な車両を確保することが可能になります。 !

まとめ:正確な原価把握こそが、中古車販売業の生命線

経験や勘に頼った価格設定は、知らず知らずのうちに利益を削り、経営を不安定にさせます。オークション相場を起点とし、車両一台にかかるすべてのコストを正確に把握して「総原価」を確定させること。そして、その総原価に基づいて、確保すべき利益を乗せた適切な販売価格を逆算して設定すること。この一連のプロセスをいかに正確に、かつ効率的に行えるかが、今後の激しい競争を勝ち抜くための鍵となります。

「CarGate」のような専門システムを活用し、「どんぶり勘定」から脱却して、データに基づいた強固な経営基盤を構築しましょう。

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